相続税の計算に当たり、土地の評価を行うことが非常に多いものですが、その中でも宅地の評価が主となります。
宅地を評価するにあたって、評価を行う宅地をどのような単位で行うかが最初に問題となります。1つの宅地での利用形態によって、全体を1画地として評価するか、別々に評価すかが変わります。
- 所有する宅地を自ら使用している場合、居住用か事業用かにかかわらず、その全体を1画地として評価します。つまり、所有する1つの宅地の上に居住用の家屋と事業用の店舗の2つの建物が建っていたとしても、全体を1画地として評価を行います。この理由は、自用の宅地の場合、他人の権利(借地権、賃借権、借家権等)の制約がないため、その全体を一体として利用が可能ですので、その全体を利用の単位として評価を行うことになります。
- 所有する宅地上に、居住用家屋とアパートなどが建設されている場合は、居住用の家屋は自ら使用し他者の権利の制約のない土地ですが、アパートは他人の権利(借家権)の制約を受ける土地となりますので、居宅部分とアパート部分の土地の利用単位ごとに相続税の土地評価を行う必要があります。
- 所有する宅地の一部に居宅を建て、残りを息子に使用貸借で貸付息子はアパートを建設している場合は、アパートに借家権があっても借地人である息子は使用貸借であり使用借権の価格は、ゼロとして取扱い、使用貸借で貸し付けている土地は自用地で評価しますので、居宅部分を含めた全体で自用地の評価を行います。
- 所有する宅地の一部に貸家を建て、残りを他の人に貸し付けている場合は、貸家の部分には借家権が貸地には借地権がそれぞれあるため、利用の単位が異なりますので、それぞれを1画地として評価します。
- 所有する土地を、2人の別々の者に貸し付けている場合は、それぞれ別の権利が各土地にありますので、それぞれを1画地として相続税の評価を行います。
- 2人以上の者から、隣接している土地を借り、その上に自用の建物を建設している場合は、利用している者は1名であっても、借地権の目的となっている土地は異なりますので、それぞれ別に相続税の評価を行います。
- 自分の土地に合わせて隣接の土地を借り、全体を自分の建物の敷地として利用している場合は、土地と借地権と権利は異なってはいますが、同一の者が権利を有して利用しているため、全体を1画地として評価を行い、面積で按分し借地部分は借地権割合を乗じて相続税評価額を算出します。
- 共同ビルの敷地のように広い敷地が全体で一つの建物の用地とされている場合、1つのビルの敷地全体を1画地として評価し、その敷地の一つづつの区画の相続税評価額の合計額で按分計算を行って、自分所有する土地の価格を算出します。
- 通常の宅地として利用できないような不合理な分割を行った場合、分割前の画地を1画地として評価を行い、それぞれの土地の評価額の割合で按分計算を行って各土地の相続税評価額を算出します。
土地の評価を行うに当たっては、利用単位、権利関係等を判断してどのような単位で相続税評価を行うかを慎重に行う必要があります。