不動産・土地などの相続税や遺産相続手続きのことなら、ワンストップサービスの税理士・谷内修一にお任せください!(横浜南区)

相続のことなら横浜の谷内修一税理士事務所

〒232-0016 神奈川県横浜市南区宮元町3-44 ヨコハマMMビル304

受付時間

平日9:00〜17:00
夜間の相談は要予約

FAX

045-315-5223

初回のご相談は無料で承ります!

045-713-4465

遺留分の基礎知識

遺留分とは

遺言は、被相続人の意思として尊重されますが、我が国の民法においては兄弟姉妹以外の相続人は、法定相続分の2分の1または3分の1は、相続人の最低限の権利として認められており、これを遺留分と言います。

この、遺留分は遺言によっても奪うことができないため、色々な問題が生じます。

遺留分の基礎

遺留分とは、生前贈与や遺言によっても侵害することができない最小限度の権利です。

民法1028条に兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。

  1. 直系尊属のみが相続人である場合:被相続人の財産の三分の一
  2. 前号に掲げる場合以外の場合:被相続人の財産の二分の一

と規定され、法律上必ず留保すべき相続財産の一部の権利が認められています。

この遺留分については、遺言があっても侵害することができず、遺留分を侵害された相続人は遺留分減殺請求をすることにより、遺留分を取り戻すことができます。今回の民法改正により、令和元年7月1日以降の相続においては、遺留分を侵害された者は減殺請求ではなく、遺留分侵害額に相当する金額の賠償を請求することになり、金銭で賠償を求めることになります。このため、不動産等を取得した者に遺留分の侵害額請求がなされると従来は相続した不動産の共有持ち分を遺留分として相続させることで遺留分の減殺請求に応じ、相続税の申告で取得割合等を変更するだけでよかったのですが、金銭での賠償になると不動産の持ち分を渡した場合は、不動産の譲渡の申告も必要となってくると思われます。このため、遺留分の侵害が認められる遺言を行う場合は、侵害額に相当する金銭が負担できるか、できない場合は生命保険等を活用していくなどを検討する必要があると思われます。

民法の改正の内容はこちらをクリック

なお、遺留分侵害額請求は、相続開始後または遺留分を侵害する贈与、遺贈等があったことを知った時から1年以内に行う必要があります。

遺留分の算定

遺留分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除して、これを算定する。と規定され、贈与は、相続開始前の一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。

当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より前にしたものについても、同様とする。

と決められていますが、共同相続人の生前贈与については、判例によりすべての生前贈与が遺留分算定の基礎となります。また、遺留分算定にあたっての価格は、生前贈与時の価格ではなく、相続時の価格となり、たとえば自社株式を生前贈与し自社の業績が好調で株価が上昇している場合、上昇している価格が遺留分算定の基礎となります。

遺留分の計算例
被相続人A甲会社を創業・全株式を保有(相続時評価額5億円)
その他の相続財産・居住用不動産・評価額5千万円、預貯金5千万円
相続人B(長男)大学卒業後甲社入社、実質的な甲社の経営を取り仕切る。
相続人D(長女)結婚後甲社とは無関係

長男Bに全ての財産を相続させる旨の遺言が有り、長女Dが遺留分侵害額請求訴訟を提起。

このようなケースで遺留分の算定の基礎となる財産は株式5億円、居住用不動産5千万円、預貯金5千万円の合計6億円となります。

遺留分は相続財産の2分の1の3億円。遺留分権利者の遺留分は、それぞれ

それぞれの遺留分
長男B3億の2分の1の1億5千万円
長女D3億の2分の1の1億5千万円

遺留分侵害可能額は、長女Dが相続財産をなにも取得していないため、1億5千万円の侵害請求が可能となります。

なお、従来の相続では長女Dが減殺請求をすると、各相続財産について遺留分の割合で共有状態になり、長女は株式の4分の1、居住用不動産の4分の1、預貯金の4分の1の所有権を取得し、長男Bが全株式を取得するためには、長女Dに1億2千万円の価額弁償をしなければなりません。つまり、居住用不動産と預貯金を全部長女に渡し、株式を5千万円分渡せば良いわけではなく、すべての財産に長女Dの権利があるため、長男B単独では財産の処分ができなくなってしまいました。

しかし、今回の改正で長男Bが長女Dに1億5千万円支払う必要がありますが、他の相続財産の持ち分などが共有状態になることはなく、長男Bの単独での処分が可能となります。

 

遺留分の民法特例

このような問題があるため、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律に、遺留分に関する民法の特例措置が盛り込まれました。

遺留分の事前放棄等

遺留分による紛争や自社株式、事業用資産の分散を防止する方法として、遺留分の事前放棄や、経営承継円滑化法の民法特例の適用があります。

遺留分の事前放棄

現行民法でも、遺留分を有する相続人は被相続人の生前に自分の遺留分を放棄することが出来ますが、遺留分を放棄する場合は、放棄しようとする相続人が自分で家庭裁判所に申し立て許可を得なければなりません。

遺留分を放棄するメリットがない相続人の了解を得るのは困難なのが実情で、遺留分の放棄の申し立てを行っても、家庭裁判所の審理は個々の申し立てごとに行われるため、複数の相続人が申し立てたとしても、その判断が同一となるとは限りません。

経営承継円滑化法の民法特例

現行民法の遺留分の事前放棄制度の限界を補うために、経営承継円滑化法に、遺留分に関する民法特例ができました。この特例では、経営者から後継者に生前贈与された自社株式について、遺留分算定財産から除外することや、経営者から後継者に生前贈与された自社株式について、基礎財産に算入する際の価格を固定することなどが出来ます。

この特例は、いずれも後継者を含む現経営者の推定相続人全員の合意が前提で、経済産業大臣の確認と家庭裁判所の許可が必要ですが、遺留分の放棄等でメリットを受ける後継者が単独で手続きを行うことができるため、現行の民歩の規定による遺留分の事前放棄より、非後継者の手続等の負担が軽減されます。

遺留分の除外合意

経営承継円滑化法の民法特例の後継者を含む経営者の推定相続人全員の合意により、経営者から後継者に生前贈与された株式について、遺留分算定の基礎財産に算入しない、という合意をすることができ、この合意の対象となった自社株式については、遺留分算定の基礎財産に算入されず、遺留分減殺請求の対象から外れることになるので、相続により自社株が分散することを防ぐことができます。

遺留分の固定合意

後継者と非後継者は、後継者が経営者から生前贈与を受けた自社株式について、遺留分算定の基礎財産に算入する価格を合意時点の価格にすることができ、この合意対象になった自社株式については、遺留分算定の基礎財産に算入する際、その価格が合意当時の価額に固定されるので、後継者は将来の価値上昇による遺留分の増大を心配することなく経営に専念できます

合意する株式の価額は、その適正さを裏付けるため合意の時における相当な価額であることについて、弁護士、公認会計士、税理士の照明が必要となります。

これらの、除外合意、固定合意を行う場合、非後継者が経営者から生前贈与などにより取得した資産についても、遺留分算定の基礎財産に算入しないという合意をすることが出来ますので、相続人間のバランスをとって合意を形成する必要があります。

遺留分の放棄に対するお礼はどうなる

遺留分は、相続人が自主的に放棄することが出来ます。ただし、遺留分を有する相続人が、自分で家庭裁判所に申し立てを行い、裁判所の許可を得る必要があります。

遺留分を放棄することにより、相続で不利益を被るということで、その代わりに財産をもらうことがありますが、この場合税金がかからないと話している人がいましたが、何を根拠に非課税と言っているかわかりません。相続の際に、相続財産を取得しないなら相続税の対象にはなりませんが、遺留分の放棄をしたお礼等として遺留分の放棄に際して財産を取得した場合は、贈与税の対象となり贈与税が課税されることになります。

相続税の申告は横浜の税理士

担当:谷内 (たにうち)

お電話でのお問合せはこちら

045-713-4465

受付時間:9:00~17:00 (土日祝を除く)
※土日夜間のご相談は予約にて承ります。

相続・贈与マガジンの配信を希望される方は、お問い合わせのページでご登録ください。

下記のような疑問やお悩みがございましたらご連絡ください
  • 何もわからないのですが、これから何をすればよいのでしょうか?
  • 遺言書があったのですが、すぐ開けて大丈夫ですか?
  • 税務署から、お尋ねの書類が来たのですが、どうすれば良いですか?
  • 結局、費用はいくらかかるの?
  • 相続って、何から始めれば良いの?
  • 手続きをしないと、大変なことになるって聞いたけど?
  • 今から相談に行って大丈夫ですか?

あなたからのお問合せ・ご相談お待ちしております。